特殊詐欺1816億円|偽広告の事前排除と限界
もし今、著名人が勧める投資広告を見て、LINEへ移動しようとしているなら、いったん止まってください。
有名なSNSに出ている広告でも、安全とは限りません。
顔や声、会社名、利益の画面まで、偽物を作れる時代です。
今は押さなくていい。
今は振り込まなくていい。
広告が本物かどうかを、一人で決める必要もありません。
特殊詐欺の被害額は半年で1816億円
警察庁によると、2026年上半期に確認された特殊詐欺の被害額は1816億2千万円でした。前年同期より51.7%増え、認知件数も2万2031件に上っています。
なかでも深刻なのが、SNS型投資詐欺です。
- 認知件数:5893件
- 被害額:797億9千万円
- 特殊詐欺の被害総額に占める割合:43.9%
被害額の約44%が、SNSを通じた投資詐欺です。
これは「広告を見る人が注意すればよい」という規模ではありません。偽広告が大量に表示され、信じるように作られていること自体が、大きな問題です。
偽広告の「事前排除」が必要な理由
産経新聞の社説は、被害を抑えるために、偽広告を掲載前に見つけて排除する仕組みが必要だと訴えています。
現在は、問題の広告を見つけてから削除する対策が中心です。しかし詐欺グループは、使い捨てのアカウントから次々と広告を出します。
一つ消しても、別の名前や画像で新しい広告が出る。削除だけでは追いつかない「もぐらたたき」の状態です。
掲載する前に確認できること
記事では、次のような対策が提案されています。
- 著名人の顔、名前、音声が無断で使われていないかAIで確認する
- 広告主の本人確認を厳しくする
- 偽広告の決済に使われたカードや口座を共有し、繰り返し使わせない
2026年8月には、警察庁や消費者庁など7府省庁も、主要なSNS事業者へ対策強化を要請しました。広告主の本人確認、広告情報の透明化、違法の疑いがある広告の迅速な削除などを求めています。
偽広告を入口で止める仕組みは、急いで進める必要があります。
それでも「入口だけ」では止めきれない
事前排除が進んでも、すべての偽広告を消せるとは限りません。
広告が削除されるまでの間にも、誰かがクリックします。LINEへ移動し、偽の投資グループに入り、利益が増えているように見えるアプリを見せられます。
つまり、入口の対策と同時に、振込直前で止まる仕組みも必要です。
詐欺師の最終目的は、広告を見せることではありません。LINEへ移動させることでもありません。
あなたのお金を動かすことです。
だから、振込、暗号資産の送金、電子マネーの購入という最後の行動を止められれば、被害を防げます。
なぜ偽広告を信じてしまうのか
問題は、あなたの判断力ではありません。
著名人の写真がある。ニュース記事のように見える。大手SNSに表示されている。コメント欄には「利益が出た」という声が並ぶ。
こうした見せ方によって、「広告審査を通っているから大丈夫」と思わされるのです。
LINEへ移動した後は、親切な担当者が時間をかけて信頼をつくります。偽アプリの数字が増えたり、最初だけ少額を出金できたりする場合もあります。
詐欺師が奪おうとしているのは、お金だけではありません。調べる時間と、誰かに相談する機会も奪おうとしています。
被害直前に起きる危険サイン
- 広告からLINEへ移動するよう言われた
- 著名人本人や「助手」を名乗る人から連絡が来た
- 専用アプリに利益が表示されている
- 「今だけ」「枠が埋まる」と急がされている
- 振込先が個人名義の口座になっている
- 家族や金融機関に話さないよう言われた
一つでも当てはまるなら、広告や相手を信じ切る前に止まってください。
偽広告から身を守る5つの行動
- 広告をすぐ押さない
スクリーンショットを残し、いったんSNSを閉じます。 - LINEへ移動しない
個別の連絡に移るほど、第三者の目が届きにくくなります。 - 広告とは別に検索する
会社名や人物名に「詐欺」「偽広告」を加え、自分で調べます。 - 振込前に一時間待つ
相手への返信、借り入れ、暗号資産の購入も止めます。 - 画面を誰かに見せる
家族、友人、金融機関、警察、相談窓口へそのまま見せてください。
sagi110.comからのメッセージ
偽広告を掲載前に排除することは、社会全体で進めるべき対策です。
しかし、その仕組みが整うまで、あなたが危険を一人で見抜き続ける必要はありません。
「少し怪しい」
「でも本物かもしれない」
そう迷っている時点で、相談してよいのです。
確認するだけでも大丈夫です。広告やLINEの画面を消さず、そのまま見せてください。
今は押さなくていい。
今は振り込まなくていい。
一人で決めなくていい。
止まれば、間に合います。
迷ったら、一時間。
出典:警察庁<令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について>2026年7月30日
産経新聞<主張「特殊詐欺が悪化 偽広告『事前排除』の策を」>2026年8月20日
経済産業省<SNS等におけるなりすまし詐欺広告に関する対策強化のための7府省庁合同要請>2026年8月7日


この記事へのコメントはありません。