
一緒に家庭を築こう…その言葉の裏に潜む罠|SNS型ロマンス詐欺の巧妙な手口とは?
はじめに|甘い言葉の先にあったものは…
「一緒に家庭の幸せ基金を作ろう」。そんな一見心温まる言葉に込められていたのは、巧妙に仕組まれたロマンス詐欺の罠でした。
今回は2025年5月、新潟市で発生したSNS型ロマンス詐欺事件を取り上げ、なぜ人は騙されてしまうのか、その構造と心を守る方法について詳しく解説します。
ニュース概要|SNSで出会った“彼女”から投資勧誘
被害者となったのは、新潟市北区在住の60代男性。2025年2月、出会い系サイトで知り合った女性を名乗る人物と、SNSでやりとりを始めました。
女性から送られてきた言葉:
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「一緒にお金を稼いで家族を育てたい」
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「家庭の幸せ基金を作ろう」
この言葉に心を動かされた男性は、彼女の勧めで“投資アプリ”をインストールし、投資サイトに登録。
サービスセンターを名乗る者とも連携し、投資や違約金などの名目で7回にわたって合計340万円を送金しました。
最終的に「会う予定だった彼女」が突然キャンセルしたことで不信感を抱き、警察に相談して発覚しました。
出所:TeNYテレビ新潟(2025年5月19日)
なぜこのような手口が使われるのか?
SNSを使ったロマンス詐欺のメリットとは?
詐欺師にとっての利点は主に以下の通り:
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心理的親密さが築きやすい
恋愛感情を使うことで、論理よりも感情が先行し、相手の判断力を鈍らせる。 -
匿名性と距離感
実際に会わずに関係を構築できるため、詐欺師側のリスクが低い。 -
長期的な信頼構築が可能
数週間~数カ月にわたり、徐々に相手を取り込むことで、一気に大金をだまし取ることができる。
被害のプロセス|フェーズごとに見る手口の構造
フェーズ1:出会いと親密化
出会い系やSNSで“偶然”出会い、親密なやりとりが始まる。日常会話、共感、褒め言葉などで好意を抱かせる。
フェーズ2:未来の約束と目標の共有
「一緒に家庭を築こう」「老後も寄り添いたい」などの言葉で絆を深める。
フェーズ3:投資の提案とアプリ誘導
「資金を貯めよう」と言いながら、“投資アプリ”や専用サイトへの登録を促す。
フェーズ4:小さな成功体験と信頼獲得
最初は少額の報酬や利益を“演出”して、信頼を構築。
フェーズ5:トラブル・違約金での追加送金
突然のキャンセルやトラブル発生を装い、「違約金」「手数料」などを理由に高額請求。
今すぐできる!防犯対策5つ
① 実在の人物と確認できるまでお金の話は禁止
相手が本当に存在する人物か、裏付けが取れるまでは一切金銭の話は応じないこと。
② 「愛情」と「金銭」が絡んだら詐欺を疑う
「恋」と「投資」は本来関係ありません。両方が絡んだ時点で高リスク。
③ アプリのインストールには注意
見知らぬ人に指示されたアプリのダウンロードは非常に危険。個人情報が抜かれる可能性も。
④ 家族や信頼できる人に相談
「恥ずかしい」「バカにされるかも」と思っても、信頼できる人には必ず相談しましょう。
⑤ 警察相談窓口「#9110」や消費者ホットライン「188」に通報
少しでも疑わしいと感じたら、迷わず相談することが詐欺防止の第一歩です。
心を守るメッセージ|“信じたい心”を利用されないために
ロマンス詐欺が成立する背景には、被害者の「誰かに必要とされたい」「孤独から抜け出したい」という想いがあると言われています。
その“優しさ”こそが、詐欺師にとって最大のチャンスになるのです。
でも、信じる力は決して悪ではありません。
本当に信じていい人かどうかを見極める“冷静さ”を、心の隅に持っておくこと。
それが、あなたと大切な人の未来を守る第一歩になります。
出所:TeNYテレビ新潟(2025年5月19日)
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