「まさか自分が」──高額詐欺はこうして始まり、こうして抜け出せなくなる
本日29日、地元紙(北海道新聞)に掲載されていた記事を読んで、改めて強く感じました。
高額詐欺被害は、まったく減っていません。
しかも特徴的なのは、
被害に遭った多くの人がこう口をそろえて言うことです。
「最初は、ちょっとおかしいと思ったんです」
それでも、結果的に騙されてしまう。
なぜでしょうか。
詐欺は「一気に騙す」ものではない
詐欺師は、いきなり大金を奪おうとはしません。
彼らがやっているのは、少しずつ人を運ぶ“エスカレーター”の設計です。
自分で歩いているつもりでも、
気づいたときにはもう引き返せない位置まで運ばれている。
これが、今の詐欺の本質です。
詐欺師の手口①「小さな違和感」を無視させる入口
多くのケースは、
SNS広告やおすすめ投稿から始まります。
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「誰でも簡単に利益」
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「限定情報」
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「投資グループに招待」
この時点で、ほとんどの人は
「怪しいな」と一瞬思います。
しかし詐欺師は、
「疑う人がいる」ことを最初から想定しています。
だから次の仕掛けが用意されています。
詐欺師の手口② 場所を移して警戒心を下げる
SNS → LINEなどのグループに誘導されます。
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参加者がたくさんいる
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会話が活発
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投資の話が自然に流れている
すると人はこう感じます。
「こんなに人がいるなら大丈夫かも」
場所が変わるだけで、人は安心します。
ここで警戒心が一段下がります。
詐欺師の手口③「先生」「専門家」を登場させる
次に現れるのが、
投資家・アナリスト・先生を名乗る人物。
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難しい言葉
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チャート
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もっともらしい解説
内容が理解できなくても、人はこう思います。
「自分が分からないだけで、プロなんだろう」
これが権威への錯覚です。
詐欺師の手口④ 成功している「仲間」を見せる
グループ内では、こんな投稿が流れます。
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「今日も利益出ました!」
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「先生のおかげです」
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「参加してよかった」
実際は詐欺師側の人間(サクラ)ですが、
見る側には区別がつきません。
人は、
「みんながやっている=安全」
と無意識に判断します。
詐欺師の手口⑤ 個別連絡で“人間関係”に変える
そして決定的なのが、個別メッセージ。
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若い友達のような口調
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雑談、日常の話
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投資とは関係ない会話
ここで詐欺は、
「怪しい情報」から「知り合いとのやり取り」に変わります。
人は、
情報よりも「人」を信じてしまうのです。
詐欺師の手口⑥ 小さな成功体験を与える
最初は少額です。
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入金させる
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偽のアプリや画面で「増えている」ように見せる
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褒める、持ち上げる
「あなたはセンスがあります」
こうして
「自分は大丈夫」という錯覚が完成します。
詐欺師の手口⑦ 引き返せなくする言葉
金額が大きくなると、
出金しようとした時に言われます。
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手数料が必要
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税金を先に払う
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保証金が必要
さらに、
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「家族には言わないで」
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「銀行には別の理由で説明して」
相談させないことが、詐欺のゴールです。
「自分は大丈夫」が一番危ない
詐欺被害者の約8割が言います。
「まさか自分が騙されるとは思わなかった」
これは、判断力が低かったからではありません。
詐欺師が人の心理を利用する設計をしているからです。
本当に有効な対策は「注意」ではない
「気をつけましょう」では、
いざという時に止まりません。
① 家族ルールを決めておく
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お金の話が出たら即保留
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必ず家族や第三者に相談
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その場で決断しない
② 銀行で“仕組み”を作る
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振込限度額を下げる
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新規振込先は少額に
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通知設定をオンにする
③ SNS・LINEの入口を減らす
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知らない投資グループは即退出
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「アプリを入れて」は即アウト
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投資は必ず自分で公式サイトを確認
あなたは大丈夫。でも、大切な人は?
あなた自身は
「自分は騙されない」と思っているかもしれません。
でも、
家族・友人・知人が被害に遭ったらどうでしょうか。
きっと、こう言うはずです。
「一度相談してほしかった」
だからこそ、
この話は注意喚起ではなく、共有してください。
詐欺は知識ではなく、
仕組みと人とのつながりで防ぐものです。


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