はじめに

「占い」と聞くと、手相やタロット、星占いを思い浮かべる人が多いでしょう。古くから人々の未来への不安や願望を支えてきた占いですが、その裏で「偽の占い師」による詐欺が横行していました。

「あなたは呪われている」「このままでは不幸になる」といった言葉を巧みに操り、高額な祈祷料や壺・札を売りつける…。こうした手口は、江戸時代から現代に至るまで形を変えながら続いています。本記事では、古典的な「偽の占い師詐欺」の実例や心理戦術、現代の類似手口との共通点を深掘りしていきます。

「偽の占い師詐欺」とは？

「偽の占い師詐欺」とは、占いを装いながら、人々の不安を煽って金品を騙し取る詐欺の一種です。

詐欺師は、「当たる占い師」として評判を広めたうえで、人々を引き寄せる」 という計画的な手法を用います。信じ込ませた後は、「特別な祈祷」「呪いを解くためのお守り」などの名目で大金を要求するのです。

手口の基本構造

1. 巧妙な話術で信頼を得る
   初対面で「あなたは最近、大きな決断をしましたね？」などの曖昧な言葉を使い、相手に「当たっている！」と思わせる
2. 恐怖心を煽る
   「このままでは大きな不幸が訪れる」「すでに呪われている」と言い、焦らせる
3. 解決策を提案する
   「特別な儀式をすれば大丈夫」「この壺を家に置けば厄が払われる」と商品や祈祷料を要求
4. 高額な金銭を騙し取る
   相談を重ねるうちに「もっと大きな厄災が迫っている」と追加料金を求め続ける

江戸時代の「偽の占い師詐欺」の実例

江戸時代には「口寄せ」「祈祷」などの名目で庶民を騙す偽の占い師が存在しました。

実例①：「狐憑き」と偽った詐欺

• 手口
  「あなたには狐が憑いている」「このままでは家が没落する」と不安を煽り、高額な祈祷料を請求
• 被害者
  武士や商人など、家の繁栄を気にする層
• 結果
  祈祷を受けても何も変わらず、後から詐欺と気づくが後の祭り

実例②：「偽の千里眼」

• 手口
  「私は千里眼を持ち、未来が見える」と豪語し、商人に「この方角に店を出せば大成功する」と吹き込み、アドバイス料を請求
• 被害者
  事業の成功を願う商人や大店の主人
• 結果
  店を出してもうまくいかず、占い師は姿を消す

江戸時代の町人文化が発展するにつれ、こうした偽の占い師たちが増え、幕府も対策を講じるようになりました。「怪しい占い師に騙されるな」との注意喚起が広まりましたが、それでも被害は絶えませんでした。

現代の「偽の占い師詐欺」との共通点

江戸時代の偽占い師詐欺と、現代の手口には驚くほどの共通点があります。

現代の手口①：霊視商法」

• 手法
  「霊が見える」「このままだと大変なことになる」と不安を煽り、高額な壺や祈祷を勧める。

現代の手口②：「LINE占い詐欺」

• 手法
  SNSで「無料占い」を謳い、結果を聞くために課金させる手口。徐々に高額な相談料を要求。

騙されないための具体的な対策

「偽の占い師詐欺」から身を守るために、以下のポイントを押さえておきましょう。

無料占いに注意！

• 「無料」と言いながら後で料金を請求する手口が多い
• 個人情報を渡す前に、相手の信頼性をチェック

恐怖を煽る言葉に惑わされない

• 「あなたは呪われている」「今すぐ対処しないと不幸になる」という言葉は、詐欺の典型的なパターン
• 急かされるほど詐欺の可能性大

客観的な意見を求める

• 「本当に必要なのか？」と冷静に考える
• 家族や友人に相談してみる

支払いを要求されたら一度ストップ

• 「特別料金」「限定サービス」などの文言には要注意
• お金を払う前に、消費者センターに相談するのも有効

まとめ – 「偽の占い師詐欺」の歴史から学ぶ教訓